このチームのファンになってから、本当にいろいろありました。中山のわいせつ事件、 高橋雅裕(真裕)のザル守備、 史上最弱の4番打者・山崎賢一(シーズン7ホーマー)、 東瀬の、デビュー戦1イニング3奪三振、 インフィールドフライでサヨナラ勝ちした珍試合(広島戦)、 高木豊が打者遠藤を蹴り飛ばして成功させたホームスチール、 ヒロカズ(加藤博一)コール、 長内と銚子のトレード、 開幕戦・代打二村の9回2死無走者からの同点ホームラン(阪神戦)、 レイノルズの11打席連続ヒット、 高木豊・屋鋪・山崎賢一・大門らの大量解雇事件、 外野席からでも変化がはっきり分かる大魔人のフォーク、 けっこうハマってた1番打者ローズ、 ヤクルト・石井一久にやられたノーヒットノーラン、 謎の代走・マホームズ………。語り尽くす事のできないほど 多くの想い出。全ては、Wのマークがついたチームを、応援しようと決めた瞬間から始まったのです。
1998年10月26日月曜日。横浜3勝、西武2勝でむかえた日本シリーズ第6戦。この日は、母親と観戦。そしてぼくは第7戦のチケットはとらなかった(とれなかった)ので、この試合でもし横浜が負けてしまったら、第7戦はTV観戦となってしまう。
試合開始前に横浜駅で大魔神社にお賽銭を投げ入れ、それからいつにも増して混んでいる根岸線で、関内駅下車。油そばとフランクフルトを球場内の売店で買い、食べているうちにオーダーが発表される。ベイスターズはDH無しの「いつもの」オーダーに戻った。そして先発投手は、三浦ではなく、開幕投手の川村。ライオンズは外人抜きの国産打線。スタンドの客全体の2〜3%程度しかいない西武ファンが、よけいに肩身の狭くなるような布陣だ。唯一の砦は、手負いのヤングエース・西口か。
そうこう考えている間に、運命の一戦が試合開始。横浜球場でのベイファンの応援は、やはりすごいものがあった。一体感があるというか、とにかくいいムード。内野も外野も、球場のほとんどを占領しているのだから、なおさらだ。
試合は川村と西口の我慢比べとなった。横浜打線はとにかくヒットが出ず、7回までわずか2安打。西武打線も5番に抜擢された大塚が一人気を吐くものの、川村が数回おとずれたピンチをしのぐ。
そして、8回裏、横浜の攻撃。1番からの好打順も、石井琢が西口にタイミング合わず三振。しかし2番・波留がフォアボールで出塁。1死1塁で、3番・鈴木尚の打った打球は セカンド高木浩のもとへのゴロ。捕球後 高木浩は1塁ランナー波留にタッチしたかに見えたが、セーフ(タッチしていない)の判定。1塁2塁オールセーフとなる。東尾監督が猛抗議するが、判定はくつがえらない。4番・ローズは浅いセンターフライで2アウト。2死1・2塁となって、打席には駒田。
駒田が、西口の、投げた球を、思いきりひっぱった瞬間………。スタンドは総立ち。ほとんどのファンは、一瞬のうちにイスの上にあがって、ただ、駒田が打った球の行方を目で追った。のびる、のびる、のびろ、のびてくれっ、おぉ、のびてる、のびてく……。ぼくがいた1塁側ライト寄りのスタンドからは、左から、右へと……。その瞬間は、自分が何て叫んだのかも分からない。気がつくと、ライトフェンスに球が当たっていた。すでにボリュームはMAXだろうと思われていたスタンドの声援(悲鳴?)が、さらに大きくなった。波留と鈴木尚がホームイン、2点、先制!
次打者・佐伯は敬遠され、当然のごとく大ブーイング。谷繁フォアボールで満塁になるが、進藤三振でチェンジになるが、場内は時計回り、反時計回り両方にに回転する大ウェーブ。敏夫・尚典・駒田コール。
そして9回表、やまない佐々木コールとともに、登場した大魔人!もう、興奮しすぎて、何が何だか分からなくなっていた矢先に、5番・大塚の打った平凡な打球を鈴木が(照明が目に入って)見失い、三塁打にしてしまう。スタンドは、夢と不安の入り混じった さらに異常な雰囲気となる。ここから先は、もうホントに真っ白。6番の小関に代わってペンバートンが代打に出ていた事にぼくが気がついたのは、ペンバートンが三振した後。で、1死3塁となり、7番・高木浩の打順でも知らぬうちにマルティネスが代打に出ていて、マルちゃんにはフォアボール。そして、8番・中島の3塁ゴロを進藤がフィルダースチョイスして、1点を失ってしまった(スタンドにいた時には、興奮のあまり点が入った事は分からなかった)。9番・西口の場面で、金村が代打に。
……金村は初球を打った。セカンドゴロ!ローズ→石井琢→駒田!3アウト!そのとたんに凄まじい量の紙ふぶき、紙テープが夜空に舞う!オーロラビジョンには、大きく「日本一」の文字が輝く!言葉では、とても伝えきれない感動があることを、知りました。
この上なく美しい結末だった。 1年間にわたって安定したハイレベルな実力を他球団にみせつけた内野陣。ゲッツーでのゲームセットとなったため、「あと一人コール」も「あと一球コール」もできなかったが、これこそ、横浜ベイスターズの1998年の締めくくりにふさわしいプレーであったと思う。しかも、クロスゲームであったからこそ味わえた、生みの苦しみ、そして極上の喜び。しし座流星群の煌きも、この「星」たちの輝きには遠く及ばないでしょう……横浜ベイスターズ!日本一おめでとう!そして、夢をありがとう!!
 ☆優勝記念写真集☆
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